君も今日から鉄ちゃん! 鉄道本10冊2007

 こどもの頃、電車が大好きだった。大人になった今は、う〜ん、密かに好きといった所か(笑)。鉄道よりも好きなものがいろいろ増えたせいもあるけれど、鉄道好きということを堂々と白状することに恥ずかしさがあった。しかし、今カミングアウトする時は来た!
昨今の鉄道ブーム、特に女子を巻き込んでの盛り上がりはかつてないほどだ。鉄オタを主人公にしたTVドラマなんて考えられなかったもんね。
 旅に通勤にと私たちの生活に欠かせない鉄道の雑学と物語を、新幹線から通勤電車、ローカル線、旅、駅、駅弁などといったキーワードからとらえ選定した10冊で堪能されてはいかがだろう。夏休み、長旅のお供に1冊、どうですか。
『新幹線不思議読本』
梅原淳 朝日文庫 ¥840
『吉田電車』 
吉田戦車 講談社文庫 ¥540
 子どもの頃から新幹線が好きだった。夏休み、祖父母が待つ山口まで新幹線で大旅行なんて、当時の私にとって天にも昇る幸福だった。新幹線の何がいいってやっぱりあのスピードだ。特に平行して走る在来線列車を、あっという間に追い抜くのが実に快感だった。それに全編にわたって高架線上を走るので、車窓から景色を見下ろす優越感に浸れるのも醍醐味だった。さらにそんな景色を眺めながら食べる弁当がまた楽しみだったんだな(今はビールだが)。さて本書はそんな新幹線の快適さやスピードのしくみ、雑学知識に満ちた文字通りの新幹線読本。今現在も日本の大動脈として進化し続ける新幹線の魅力を余すところなく伝えた1冊。しかしスピードや便利さが増す一方、正直もうこれ以上早くならなくても…という思いもあるが。まだまだお呼びでないよリニアモーターカー。
日野(八千代台店)
 なんというか実にのほほん、としてすっとぼけたエッセイだ。一応「電車」のタイトルはついた本だが、電車マニアなのかと思ったらこの辺も実にいい加減で、ただ旅をするのに電車を使ってみただけというスタンス。だから583系とか24系25形とかの車両名は一切出てきません。しかし「伝染るんです」の、不条理マンガでありながらそこはかとなくほのぼのとした雰囲気が好きだったという人には本書はジャストフィット! たとえば旅先で伊勢うどんを食す章でも、うどんの美味さを絶賛するというグルメ番組のような大袈裟さは皆無で、ま、こんなモノだろうね?という脱力感。でもその脱力加減がなんだか可笑しいのである。多分著者自身が「俺なんて大した人物じゃないから」と謙遜して全ての物事に接していらっしゃるからなのだろう。そんな著者を乗せて、ガタゴト走る電車を想像しても何故か可笑しくなってしまうのだ。
日野(八千代台店)
『定刻発車』
三戸祐子 新潮文庫 ¥620
『食べた、旨かった! 完璧の駅弁』
入江織美 小学館文庫 ¥752
私たちの住む首都圏の通勤ラッシュ時のダイヤは、世界各国から見ても異常な程の運行本数と正確さを誇っており、多少のラッシュを我慢してでも、通勤電車の過密ダイヤなしに私たちは生きられなくなってしまっている。本書は日本都市部の過密ダイヤと、それを遵守しようとする鉄道員たちの涙ぐましい努力や驚異のシステムを賞賛する一方、正確さを追求しすぎるあまり生じる不安と危険性も指摘し、本当の成熟した社会を目指すべく未来の鉄道社会のあり方についても言及している。
 本書が文庫化されたのは平成一七年の四月。直後にあのJR福知山線脱線事故が起きた。本書で指摘された不安が皮肉にも具現化された形となってしまった。鉄道会社の責任は勿論追求されて然るべきものだが、何より正確さを求めることを第一とする土壌を生み出した、この国の私たちがもっと考察すべきことは山ほどある。
日野(八千代台店)
 駅弁は日本のお弁当文化の精髄。時刻表のページの一番下の所に主な駅で売っている駅弁の種類と値段が書いてあることを知って以来、まだ見知らぬ土地への憧れとともに、駅弁への欲望が膨らみ続けています。本書で紹介されている駅弁は二百種以上。私はまず押し寿司(富山の「ますの寿司」、吉野の「柿の葉寿司」etc)をチェック。それからご飯の上にその土地の海の幸、山の幸が所狭しと載っているようなのもたまりません。パッケージも絶対に持ち帰ってコレクションしたい! 最近ではデパートの物産展どころかスーパーでも駅弁を買えるようになってきました。でもやっぱり旅の途中で、その時初めて出会ったかのように買い求めたいもの。それなのに、いざ選ぶ段になると「カツサンド」なんてどうでもいいものを選んでしまう私は、次の旅に備えてこの本で絶対に食べたい駅弁のページに印を付けておくことにします。
岸(茂原アスモ店)
『増補版 時刻表昭和史』
宮脇俊三 角川文庫 ¥533
『青春18きっぷで愉しむ鉄道の旅』
青春18きっぷ探検隊編 小学館文庫 ¥514
 鉄道趣味という趣味嗜好があることを知って、次に覚えたのは宮脇俊三という名前だった。確かJTBが出していた頃の月刊誌「旅」誌面で目にしたのだったと思う。淡々としながらも味わい深い筆致の中に、国内外の路線を縦横無尽に乗りつくすパワーと博覧強記が見え隠れする。氏の著作をこのラインナップに加えない訳にはいかないだろう。
 しかし本書は有名な『時刻表2万キロ』や『最長片道切符の旅』のような汽車旅の本とは一線を画している。解説で奥野健男(なんと小学校の同級生)が指摘しているように、これは鉄道とともに昭和の時代を生きた宮脇氏の「ビルドゥングス・ロマン」なのである。「人生列車」という言葉があるが、それ以上に氏の人生と鉄道とのあまりに強い絆を感じずにはいられない。この作品をきっかけに、特に鉄道に興味がないという人にも氏の著作を知っていただけたら幸いである。
岸(茂原アスモ店)
 青春18きっぷを実際に使ったことのある人は、果たしてどれくらいいるのでしょうか。「青春18きっぷは十八才未満でないと使えない」。いまだにそう思い込んでいる人もいるでしょう。かく言う私も友人が持て余した一回分を譲り受けて使ったきりですが、素人なりに丸一日いくつかの路線を乗り継いで鉄ちゃん気分を味わいました。「いつかは大垣夜行!」と願い続けてウン年。この本では夜行列車の利用は「上級編」となっているので、まずは「入門編」から頭にたたき込んでおきたいと思います。これ一冊を読めば時刻表を読んでも理解できない18きっぷの仕組みから裏ワザ、モデルコースまで準備はバッチリです。ただしダイヤ改正などで状況が変わりやすいので、最新の情報はたびたび特集が組まれる雑誌やインターネットで確認した方が万全でしょう。そしてポケットにはこの一冊を突っ込んで、さあ旅の始まりです!
岸(茂原アスモ店)
『第一阿房列車』
内田百閨@新潮文庫 ¥476
『ダルマ駅へ行こう!』
笹田昌宏 小学館文庫 ¥540
 私は休日のたびにイソイソと遊びに出掛けるような行動派ではない。それでも、時間とお金があって気の合う相棒がいたならどこへ行って何をしようかと、あれこれ妄想をめぐらすことは多い。思い立ったら唐突に日本の津々浦々へと阿房列車を走らせてしまう百關謳カは何ともうらやましいお方だ。同行のヒマラヤ山系君も「はあ」という曖昧な返事とは裏腹に、おそらく打てば響く人だったのだろう。今時こんな偏屈なオジサンに付き合える若者がいるとはとても思えないが、先生もぶっきらぼうに見せかけながら山系君や昔の教え子に対しては心優しさが見え隠れして、思わず読んでいるこちらの頬が緩んでしまう。
 二人はこの一冊でもこれでもかというほど飽きずに「阿房」な旅(?)を繰り返しているが、新潮文庫では第二および第三阿房列車が続いているので、この妙なテンポが癖になりそうな人にはぜひお薦めしたい。
 岸(茂原アスモ店)
 ダルマ駅って何? 鉄道愛好家の皆さんには常識なのかもしれませんが、鉄ヲタに程遠い私には初耳な言葉でした。どうやら役目を終えた貨車で出来た駅舎のことを言うらしいです。私と同じく鉄道に詳しくない方には何のことやら、かもしれませんが大丈夫です。本書は写真満載で、しかもそのひとつひとつに丁寧な解説までついているので、鉄道初心者でも安心して楽しめます。また、好きが高じて遂には自分でダルマ別荘をつくってしまった著者の、鉄道やダルマ駅に対する並々ならぬ愛情が随所に感じられます。その様子は感心するやら呆れるやら、微笑ましいものがあります。
 鉄道愛好家の人は時刻表を読んで、そこに物語を見つけるという話をよく聞きます。今までは時刻表に物語なんてあるの? と懐疑的でしたが、本書を読んだら何となくわかったような気がしました。
永守(八千代台店)
『鉄道オモシロ事典』
櫻田純 PHP文庫 ¥590
『有栖川有栖の鉄道ミステリ』 
有栖川有栖 角川文庫 ¥700
 普段なにげなく毎日の通勤や、旅行で利用している鉄道ではあるものの、特に鉄道ファいう訳でもない私でも面白く読んでしまった本である。東京駅が赤レンガで建築されなかったかもしれないなどと読んで、興味がわいてしまった。最初の予定では、当時の最先端技術であった鉄筋コンクリートで建築する予定だったそうである。設計者が、コンクリートを見たことがなく、日本の顔となる建物の強度が本当に保てるのか不安になり、扱いなれた赤レンガをもちいることにしたそうである。もし鉄筋コンクリートで建築されていたら、風情のない駅舎になってしまっていただろう。また、最近増えている女性専用車両に男性が乗ってしまったら処罰されるのかというと鉄道会社のサービスの一環であるので,罰則規定などはないそうである。懐かしい鉄道情報があり、最新の鉄道情報あり、鉄道ファンでもそうでない方でもたのしめるお薦めの一冊です。
中前(瑞江店)
本書は、鉄道ファンでありミステリ作家の著者が、国内外の鉄道ミステリを厳選したもの。今はもう本書でしか読むことのできない作品もあります。といっても、難しいものではなく読んで楽しい本をつくることを念頭においたという通り、小説・マンガ・戯曲そして犯人当てゲームありと、充実した内容。おすすめは、中盤に登場の江坂遊のショートショート三篇。おもわず和んでしまう絶品揃いです。最後の犯人当ては、「推理トライアスロン」という実際のイベント用に書き下ろされたもの。問題編とヒントから推理していくのですが、これがなかなか難しい。駅の見取り図や時刻表、アリバイ表のみならず駅員の証言まで掲載され、それらを頭の中で整理し、繋ぎ合わせていくだけで発狂しそうになります。どうやら名探偵にはほど遠いようです(笑)。
小峰(IY船橋店)