| 暑い夏こそ、熱い男の生き様を読め! 男のノンフィクション 十冊 |
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序文 暑い暑い暑い!と叫んでばかりの軟弱な俺が「暑い時こそ熱い男の生き様を読むんじゃい!」と言わんばかりに選んだノンフィクション十冊。 |
| リターンマッチ 後藤正治著 角川文庫 ¥657 | |
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熱い男の生き様を読むならまずはこの一冊から薦めよう。このノンフィクションの主人公である高校教諭の脇浜義明こそ、おそらくこのコーナーで最も熱い男である。 兵庫県西宮市の定時制高校。二十数年教壇に立ち、数々の問題児を抱えてきた脇浜氏は成績は悪いがケンカは強かった昔の学生たちと違い、ケンカさえ弱くなった昨今の若者の姿に危機感を覚えボクシング部を設立。若者たちとの壮絶な奮闘劇が始まるのである。 ボクシングは実に精神的なタフさとストイックさを求められるスポーツだ。それをただでさえ扱いにくい現代ッ子、それも落ちこぼれの悪ガキ相手に教え込むことがどんなものであるかは、本書をお読みになればお分かり頂けると思う。現代教育の問題点を執拗に抉り出す重さもある。しかしそれほど悲壮感はない。むしろこの本の「熱さ」にぐいぐい引き込まれ、きっと夢中になるに違いない。 正にタイトルの通り「敗者復活戦」としてのカタルシスはこの上なく痛快だ。 |
| クラッシュ 希望を絶望に変える瞬間 太田哲也著 幻冬舎文庫 ¥571 | |
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死の淵から這い上がった男のドラマとして、単行本発行時からかなり話題となったノンフィクションである。現在ドキュメンタリー映画も公開中なので、もはや説明不要の作品かもしれない。ただしこの作品を単なるお涙頂戴の復活劇として片付けてしまうなら、それは全くの早とちりというものだ。 レース中の事故でほぼ全身の火傷を負い、顔を殆ど失うほどの重傷から奇跡的な復活を遂げた男の物語は、確かに劇的だし感動を呼び起こす。生還後の家族との再会、その後のつらすぎる入院生活や、追い討ちをかけるような精神的なダメージを、家族や仲間の支えで克服していく姿には目頭を熱くする人も多いことだろう。 しかしそれ以上に注目して頂きたいのは、事故以前の、レーサーとして、レーシングチームのリーダーとして活躍、奮闘する太田氏のガッツと人柄だ。事故以前の半生も十分に面白い。それ故に事故の悲劇性も増すが復活劇の感動もひとしおなのである。 |
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ビートルズを呼んだ男 伝説の呼び屋 永島達司の生涯 野地秩嘉著 幻冬舎文庫 ¥648 |
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今年も熱いロックフェスティバルの夏がやって来た! フジロックとサマーソニック、両方とも行きたいけど、やはり今年はトリにレディオヘッドを擁する超豪華ラインナップのサマソニかな?(棚卸があるから両方はいけねーんだよ!) さて今でこそほとんど当たり前になったロックフェスや、大物アーティストの来日。そこまでの道のりは今から40年近く前、全世界的スーパーグループの来日と、彼らを招聘した一人の男によって切り開かれた、と言っても過言じゃない。その男の名は永島達司、そしてグループの名はザ・b−トルズ! 本書は1966年のビートルズ来日狂騒劇の裏で、もう尋常じゃない大変さを乗り切って彼らの招聘とコンサートを無事に成功させた、音楽プロモーターの奮闘を描いた、これはまさにプロジェクトXビートルズ来日編。 ビートルズ来日という事件の記録として、ビジネス交渉事の究極のお手本として、そして熱い男の伝記として誰にでも楽しめます! |
| 青春漂流 立花隆著 講談社文庫 ¥514 | |
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@ 競争社会を嫌って手作り家具の世界に入った漆塗り職人 A貧乏生活の中で腕を磨き続けたナイフ職人 B樹が狂う寸前の特訓で会得した猿まわしの調教師 C子供の頃かけ算九九も出来なかった精肉職人 D成績ビリの劣等性だった動物カメラマン Eケガで挫折した元自転車選手のフレームビルダー F年収わずか24万円の鷹匠 G遊んでばかりの不良だったソムリエ(なんとあの田崎真也氏)H三年間ただひたすら皿を洗い続けたフランス料理シェフ Iズルズルと成り行きだけで生きてきた染色家 Jあのはっぴいえんども認めたレコーディングミキサーのパイオニア 以上、挫折を繰り返しながらも、その道の第一線で活躍する十一人の熱き男たち。なにせ二十年前だから、古い青春のあり方として今の若い子たちには幾分説教臭く映るかな、と思い久しぶりに紐解いて見たのだけれど、全然そんなことない! むしろ彼らの生き様があまりに面白くてやめられなくなるだろう! |
| 百年目の帰郷 王貞治と父・仕福鈴木洋史著 小学館文庫 ¥600 | |
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今年35歳の自分にとって野球界のヒーローはやっぱり王さんだ。長嶋の引退なんて俺、小学校に上がる前だったんだぜ? それより物心ついて野球を見始めてからすぐに、世界記録七五六号のホームランを打った王貞治こそ、リアルタイムで誰よりも英雄だったのだ。 そんな王さんが日本人でなかったことを後に知って子供心にちょっとショックを受けたのだけれど、その為に王さんが背負わされた宿命の重さなんて当時知る由もなかった。 本書は父・仕福さんの生涯を通し、中国と台湾、そして日本の政治的思惑に翻弄された王家の、運命とルーツをさぐることにより、国籍とは何か、血縁とは何かを問う壮大で感動的なノンフィクションなのだ。 王貞治という人物が何故に多くを語らず、優等生的イメージを貫いているのか、読めば実によく理解できる。そしてそれ以上に王の本当の人物像がよく分かる一冊だ。 王さんこそ静かだが熱い男の中の男だった。 |
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天才伝説 横山やすし 小林信彦著 文春文庫 ¥476 |
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熱い男シリーズ(往年の日活映画みたい)にこの男の名を見て「えっ」と思われた方は多いに違いない。なぜならば他の男たちが何かを達成するために、不屈の闘志で自らの「男」を磨き、人生を燃やしているのに対し、この男はひたすらわがままで自暴自棄ぶりを晒しているだけだからだ。 しかし他の男たちが、目的のために自暴自棄にならず、強かに、時には冷静に人生の炎を燃やすのに対し、壊れた火炎放射器のように周りを火傷させながら自らも大火傷を負うこの男こそ、手がつけられないほどに熱いともいえないだろうか。男の名は横山やすし。 その破天荒な人生を追っかけるだけで相当壮絶なものになりそうだが、著者の小林信彦は、横山やすしという男をかなり突き放して描いているために、余計に生々しく彼の実像が浮かび上がる。 そんなやっさん、生きていれば来年で還暦を迎えるはずだった。本コーナーでもっとも悲しい男の一冊になってしまった。 |
| 竜ニ 映画に賭けた33歳の生涯 生江有ニ著 幻冬舎アウトロー文庫 ¥571 | |
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「竜ニ」という映画(リメイクではなく82年の本家版)をご覧になっただろうか? ヤクザ稼業から足を洗って堅気になるも、その生き方が肌に合わず、やはり自分はヤクザの世界でしか生きられないと悟り、妻と子を捨てて去っていく男の悲哀が描かれた日本映画史上屈指の名作である。その主演俳優が公開直後に癌でこの世を去ったことが、この映画の伝説化に拍車をかけている。 主演俳優の名は金子正次。あの松田優作も認めた男。33年の短い人生を行き急いだ男としてその名は俺たちの胸に永遠に刻まれる。 元々舞台俳優だった彼にとって「竜ニ」は最初で最後の主演映画になってしまった。脚本は自ら、勿論自分で主役を演じるつもりで書いた。死を悟った男は、この映画に自分の残りの人生全てを叩き込んだ、というまさに映画の内容以上のドラマが展開されていたのは言うまでもない。 人生のタイムリミットを目前に突きつけられた男の凄まじき執念、男なら読んでくれ! |
| 成り上がり 矢沢永吉激論集 角川文庫 ¥500 | |
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僕は子供のころ矢沢永吉の不良的イメージが大嫌いだった。とにかくうさんくさく、皆から永ちゃんなんて呼ばれてスター気取り、なんて思っていたのだ。ただ振り返ってそんなイメージが的外れだとは今でも思わない。 当の矢沢は、それを逆手にとって楽しんでいた気さえするのだ。逆に自信があってアタマもよくなきゃ、却ってあんな誤解されるような言動、行動なんて出来るわけがない。 「成り上がり」。そんな矢沢の若き日の象徴的一冊。ファンの間ではもはやバイブルともいえる本書を、今更ここで違った角度で論じるつもりなどない。この本は矢沢の激白を単純にそのまま受け止めればよいだけなのだ。ただ、思うのは、五十歳を過ぎた今の矢沢といってることが全然変わらないこと。変わらなぬ信念と変わらぬスタイルで永ちゃんは誰からも愛されるロックスターになったのだ。 さて未読の諸君は25年前のこの男の激白を真正面から受け止めて熱くなってくれ! |
| 地雷を踏んだらサヨウナラ 一ノ瀬泰造著 講談社文庫 ¥695 | |
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戦争カメラマンといえば、ロバート・キャパに始まって、国内にも沢田恭一という先駆者がいる。彼らは多くのカメラマン志望の男たちにとってカリスマ的存在となっている。彼らに比べて一ノ瀬泰造という男は、もう少し「軽い」イメージがある。崇高でストイックなイメージはない代わりに、どこか憎めない男だったのではないかと思う。しかしシャッターを押す瞬間に、誰よりも熱い男に変貌することはその作品が雄弁に物語っている。 そんな彼にも一つの大きな夢があった。 アンコールワット。十二世紀カンボジアに建立されたクメール王朝の寺院遺跡。この建造物を撮ることが彼の最大の望みだった。そして夢を求めて、彼は永遠に姿を消してしまった、数多くの熱い記録をフィルムに残して。 なぜそこまでアンコールワットにこだわり続けたのか、本書を読んでも明確な理由は出てこない。しかし得体の知れない「ロマン」に突き動かされた男の熱い記録がここにある。 |
| ゲバラ日記 チェ・ゲバラ著 角川文庫 ¥520 | |
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最後に紹介するのは、カリスマという言葉が世界で最も似合う男。 エルネスト・チェ・ゲバラ。 その活動遍歴に関しては様々な文献を通して伝えられているが、彼が死後36年たった今現在の若者たちからも熱いリスペクトを受け続けるのは、革命家、運動化としてという以前に、一人の男としてのカッコいい生き様を、理想的に体言するシンボルとして憧れの対象となっているからなのだろう。 ゲバラ39年の生涯の最後の2年間、南米ボリビアでのゲリラ活動を克明に綴った日記。ただひたすらにゲリラ戦の生々しい記録が書かれているだけ。だからヒーローとしての彼の姿を期待しすぎると裏切られる内容だ。 だがそこには革命を成し遂げる為に一切の妥協を排し、理想を貫かんとする男のリアルな姿が浮かび上がる。革命家として、男として最も純粋であったが為に、行き急ぎすぎてしまった男の生涯に少しでも興味を持つきっかけに、この本がなってくれればいい。 |