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文学に負けない! コミック文庫 十傑 |
| 昨年の王者・ドラえもんを越える名作がここにある! |
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諸星大二郎自選短編集 彼方より 諸星大二郎著 集英社文庫 ¥670 |
| 書評には「一読忘れ難い」という常套があるが、私にとってまさに一読忘れ難いが諸星大二郎の作品である。とりわけ、高校時代に友人宅でコミックス「妖怪ハンター」 を読んだときの奇妙な驚きといったら! 異端の考古学者、稗田礼二郎の行く手で起こる奇怪な事件を描いた表題作シリーズもさることながら、私の心を掴んで離さなかったのが巻末のSF短編「生物都市」なのである。 木星の衛星イオから戻ってきた有人探査宇宙船が引き起こすパニック! そのセンス・オブ・ワンダーと、何ともいえぬ味わいのラストシーン。今回選んだ「彼方より」には、この「生物都市」も収録されているので是非一読願いたい。先述した「妖怪ハンター」シリーズからも「天神さま」が収められているが、このシリーズについてはもう一冊の自選短編集「汝、神になれ鬼になれ」に三作品が選ばれているので、こちらも併せてお読みいただきたい。(特に「生命の木」は傑作) 池田(志津店) |
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魔少年ビーティー 荒木飛呂彦著 集英社文庫 ¥520 |
| 人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)でおなじみの荒木飛呂彦の初連載作品が、この『魔少年ビーティー』である。 悪魔的頭脳を持つ天才少年BT(ビーティー)が、不可解な事件に挑むストーリーは、後の『ジョジョの奇妙な冒険』で磨かれていく原石の数々が随所に見て取れる。キャラクター造形、台詞回し、画のタッチ、擬音などなど、ファンにはたまらないと思うが、もちろんこれまで荒木作品を読んでいないひとでも楽しむことはできる。とくにミステリファンにはご一読いただきたいと切に願っている。 もしもこの文庫がおもしろかったなら、『荒木飛呂彦短編集ゴージャス☆アイリン』(集英社)もお読みいただきたい。 宇田川(本店) |
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自虐の詩 業田義家著 竹書房文庫 巻各¥591 |
| 4コマのギャグマンガだ。しかしこんなに笑えて、辛くて、切なくて、泣ける4コマなんて他にはないだろう。 母親に捨てられ、貧乏ながら少しも働こうとしないダメな父親のもとで育ち、学校にも友達はいない。唯一の友と呼べるのはクラスで虐げられているこれまた極貧の女学生。そんな青春を過ごし上京した幸江は、これまたロクに働かない暴力酒乱男を夫にしてしまう。 始めは夫の無茶苦茶な暴力を大袈裟に描いたギャグマンガだと錯覚するが、これが幸江の幼少時代からの不幸の連鎖だと知ると笑えなくなってくる。それどころかあらゆる不幸に耐え、何かを悟ったかのように夫との幸せな家庭生活を夢見続ける幸江に、目頭が熱くなる。そしてどんなに不幸な人間だって幸せになる権利と資格があるんだと思わせてくれるラストシーンは、本当に涙無くしては読めないだろう。4コママンガの型に収まらない大傑作。 日野(八千代台店) |
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東京物語 ふくやまけいこ著 早川文庫 ¥798 |
| かつては「アニメージュ」に連載されていたこの傑作ミステリコミックが、永きに渡り「品切れ」の憂き目に会い、一部のファンの間でしか評価されなかったことは、まったくもって残念でならない。が、いまはこうして文庫化され、みなさまに手にとっていただけるようになったのだから、あれこれと文句は云うまい(早川書房様、ありがとう)。 昭和の初期(と思われる)時代設定は、乱歩、正史の名を挙げるまでもなく、ミステリの舞台とするにこれ以上ない魅力的なものである。雑誌記者と浮浪人のコンビが事件に挑むストーリーが回を追うごとにスケールアップしていく構造は、全三巻を一気に読ませる強い牽引力を持ち、施された仕掛けやスリリングな駆け引きは懐かしい興奮を呼び覚まし、必ずやあなたを虜にしてしまうことだろう。 宇田川(本店) |
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天まであがれ 木原敏江著 秋田文庫 各¥590 |
| 尾篭な話で恐縮ですが、私には三度のご飯より新撰組が好きな時代がありました。お風呂でも、トイレでも、既読の新撰組本を飽きもせず読み、こりもせず涙していたものです。さまざまな作家さんによる新撰組漫画も読んできましたが、第一位と断言できるのが本書!その証拠に、幾多の引越しを経て、持ち歩いている新撰組漫画は本書だけなのです。(証拠になります?) 例え本当の沖田くんが、どんな人だろうとかまわないのです。私には木原さんの描く、純情で甘えん坊で、優しい沖田君がいるのですから(作中では恋人がいるにせよ)。いかにも少女漫画チックな味付けですが、時代考証は正確なうえ、うまく脚色をしているので自然に読むことができるはず。時代の流れに逆境し、死んでゆく隊士たち。心の兄弟との別離。恋人との別れ。寂寞の涙をとどめることは誰にもできないでしょう。うぅ・・・(涙) 小峰(IY船橋店) |
| 犬を飼う 谷口ジロー著 小学館文庫 ¥480 | |
| 犬を飼うことは、一つの時代を共に生きることだと、この作品を読んで気がついた。 犬の寿命はだいたい10〜15年だが、その間に町の風景も様変わりする。また犬に「ごはん」といわずに「餌」というそんなデティールが細やかに描かれるのもよい。 作家がこの作品を書こうとした時、愛犬がこの世を去ってわずかひと月。その心情を察してあまりある。そんなときにこの作品を産み落としたのかと思うと・・・敬意を表したい。自分も犬のいないときがなかったくらい、いつも家には犬がいた。その犬が亡くなるときのことを思い出すと、今でも瞬間芸のように涙腺が緩む。うちの犬も今10歳。その日は来る。犬に限らず全ての「動物を飼うこと」と切り離せないことを知らしめる本書は犬の死ぬ1年間の日々を濃密に描いた渾身の作品。生命力の素晴らしさに胸が熱くなる。 片山(千城台店) |
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ポーの一族 萩尾望都著 小学館文庫 1・2¥590 3¥570 |
| 本書を薦めるのは、別に私が書店員だからではない。人としてそうせずにはいられないからである。 今更薦めるまでもない傑作だ。世には多くの吸血鬼モノが存在するけれども、本書は中でも最良の一つだと断言できる。それは『吸血鬼』という設定を通して人の孤独、人の関わりが繊細に、克明に描かれているからだ。 とまぁ並べてみたが、要はエドガーやアランがウツクシーのである。メリーベルが可愛いのである。クエントン卿がカッコいいのである。彼らが笑い、泣き、怒って悩んでいると、ページをめくる手が止まらないのである。 親子で夢中になった。そう、本書は時を越えて愛される作品なのである。 永守(本店) |
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ジェラールとジャック よしながふみ著 白泉社文庫 ¥670 |
| 長いことよしながふみの漫画を手にとることができなかった。理由は「男同士」だからである。でも、読んでみるとそんな偏見のせいで自分がどんなに損をしてきたかを思い知らされて衝撃を受けた。この機微の描き方、魅力的な登場人物と時代設定、そして奈によりも感涙と笑いが交互に訪れる展開に、もう惹きつけられてやまないのである。読者はみな、「なんというせつない展開!」とハンカチを握り締めた次のコマでは吹き出してしまっている自分に驚くだろう。何度も気持ちよく欺かれた後、鮮やかで印象的なラストシーンを読み終えたときに私は思った。「傑作……!」と。 もし本書を「ホモ漫画だから」という理由だけで敬遠される方がいらっしゃるならば、むしろそういう方にこそオススメしたい。 青木(聖蹟桜ヶ丘店) |
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甲子園の空に笑え!川原泉著 白泉社文庫 ¥630 |
| 夏の風物詩といえば甲子園。高校野球を描いた漫画は数多あるが、最もポピュラーなのはあだち充の「タッチ」であろう。毎年この時季になるとテレビアニメが再放送され、今年は実写で映画化もされるそうな。しかし今回選ばせていただくのは「タッチ」ではなく、一風変わったこの作品。 「甲子園まで何マイル? マイクロバスで行けるかなー」 のほほーん、な書き出しで始まる物語は、いかにも川原泉らしく、のほほーんとした絵柄で、のほほーんと進んでいく。それは、スポーツ漫画(殊に少年漫画)を読むことで湧き上がってくる熱い感情とはまるで縁のない世界だ。ただでさえ暑い夏、今年はこれを読んで、のほほん、まったりしてみるのも一興かと。あ、同時収録の「銀のロマンティック…わはは」はフィギュアスケートのお話だった。これまた涼しくていいんじゃない?(これ、ラストは泣けますよ) 池田(志津店) |
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千の王国百の城 清原なつの著 ハヤカワ文庫 ¥840 |
| もし、過去の遺物に触れるだけでその歴史を見透せる能力があったとしたら・・・? 表題作の主人公、吉村くんは海外出張の多い仕事好きな商社マン。だが、彼には先述のような超能力が備わっていた。さあ、彼と一緒にタイム・トリップへ! 今年「千利休」を上梓し、再び一部で熱を帯びている清原なつの。本書は9編から成るSFファンタジー集。「ぶーけ」で高校生の時に初めて彼女の作品を読み、キュートな絵柄と軽い衝撃のストーリーにジャブをお見舞いされて以来、私の中で特別な作家である。「真珠とり・まりあ」の章は、恋をしている人必読。しすて何より、「銀色のクリメーヌ」。異種族間の心の交流を描いた胸にせまる珠玉の一品。クリメーヌの愛らしさに心を奪われ、ラストで号泣、ああ。 片山(千城台店) |